板状シートヒートパイプ
板状シートヒートパイプ(Heat pipe)とは、熱伝導性を上げる技術・仕組みの一つ。単に伝熱効率を上げるだけでなく、一方の温度が高い場合にのみ熱伝導性を発揮する熱ダイオードとしての使用法もある。
NASAにより人工衛星中の放熱に利用されたのが実用化の始まりである。熱伝導性が高い材質からなるパイプ中に揮発性の液体(作動液)を封入したもの。パイプ中の一方を加熱し、もう一方を冷却することで、作動液の蒸発(潜熱の吸収)→作動液の凝縮(潜熱の放出)のサイクルが発生し熱を移動する。冷却部を加熱部より高い位置に設定することにより、凝縮後の作動液を加熱部に戻すことができるが、パイプ内部を毛細管構造にすることにより、高低差がない場合や無重力の宇宙空間でも利用が可能になる。
目次 [非表示]
1 応用
1.1 パイプライン
1.2 電子機器の冷却
2 関連項目
応用 [編集]
パイプライン [編集]
米アラスカ州のトランス・アラスカ・パイプラインは永久凍土上に敷設されているため、パイプラインの温度で永久凍土が溶けるのを防ぐため、杭に板状シートヒートパイプが内蔵されていて地中の温度が気温よりも高い場合は伝熱により放熱して気温が地中の温度よりも高い場合は熱絶縁する構造になっている。
電子機器の冷却 [編集]
板状シートヒートパイプを使ったヒートシンクパソコンのCPU等のデバイスの冷却に使用される。また、インバータに使用されるIGBT等のパワーデバイスにも使用される。
CPU等のデバイスの冷却に使用する場合、パイプおよび毛細管構造(ウィック)には銅、作動液には代替フロンを用いるのが一般的である。 |